恋の病をこじらせて  




暗殺の打ち合わせの最中だった。依頼主はここ半年ほどの間に、月に2、3回のペースで仕事を持ってくる女で、羽振りのよさが気に入り優先的に仕事を受けていた。


「明日の正午までが希望なんだけれど、厳しいかしら」
「ふーん、結構急ぎなんだね。ま、今夜は空いてるから今日中に殺せると思うよ。そんなに遠くないし」
「助かるわ、ターゲットの死亡が確認でき次第、いつもの口座に入金するから。迷惑かけるから今回は少し多めに」
「そ。一応終わったら連絡入れるようにはす」

ぐわん。いつも通りの会話の途中で、イルミは甘い痺れに身体の自由を奪われて、イスに傾れかかった。おかしい、呂律が回らない。



イルミの目の前では、が俯いて肩を震わせていた。あはははは、と笑いながら。



「ごめんなさい、こんなに上手くいくなんて。いつも真面目にお仕事ありがとう。……悪いとは思ってるんだけど・・・止めらんない。淫乱でも変態でも、好きな様に罵ってくれると嬉しいかも」


立っていることも困難な程の何かに侵されて、イルミは片膝をついた。その衝撃さえ今のイルミには大きすぎた。「・・・っ・・・」と漏れそうになる声を唇を噛んで必死に押さえて、目の前で妖艶に笑うを睨んだ。
イルミの全身を舐めまわすように見つめ、は目の前の事実に身震いした。

ゾルディク家の長男が横たわってる。高揚した顔で、物欲しそうに私を見つめて・・・!


の手がイルミの腕を這う。ツツーと添わせたかと思えば、触れるか触れないかの微妙を保ったり。

「お前・・・・・・殺す、よ」

身体は思うように動かず、口を動かすだけで精一杯だった。小さな抵抗である。吐息を出すまい、と強く噛んでいた唇が裂け、イルミの唇には血が伝っていた。

「ごめんなさい、苦しいわよね。大丈夫、すぐに楽にしてあげるから。何も考えなくていいのよ」

無理やりにのオーラが注がれる。動くこともままならず、イルミは目を閉じてじっと耐えるしかできない。身体の内部までじんわりと浸透するように広がる女のオーラは、イルミの息を荒くし、熱くさせた。


「やっと、やっと私のもの!」


の手がズボンの中でいっぱいに膨らんでいるイルミ自身に触れた。布の上からそっと擦るられるだけで、「う、」とイルミは熱い息を吐きだした。ああ可愛い、可愛くて仕方ない。

>は更に手を動かした。指を細かく動かし、強弱を付けて擦りつけたり、押してみたり、弾いてみたり。
既に限界まで起き上がっていると思っていた中心部が、更に膨らむ。


「すっごく立派。愛してるわ、イルミ」
「ふ、ざ・・・けるな、よ」
「怖いこと言わないでよ・・・ね、」

人差し指と親指でジーとチャックが開けられる。潜りこんだ指が、硬直に触れ、チャックの隙間からそれを外に引き出した。

「・・っぅ、・・は、」
「いい声、ほら、もっと・・・」

既に先走りで濡れていた性器を手に取ると、はゆっくりと舌を這わす。
カリを舌で舐めまわした後、ゆっくりと裏筋を陰嚢に向けて下る。「ちゅ」と音を立てながら所々で吸いつくと、イルミの上体が跳ね上がる。ああ可愛い。


陰嚢までたどり着くと、最初は舌で突き、そのあと口内で柔らかくイタぶった。袋に収納されたものを丁寧に、ときどき刺激的に。

「・・・う、っっ・・・」

は上目遣いにイルミの様子を眺めた。苦しそうに肩で呼吸をしながら、決して声は出すまいとするその表情は、を煽る。の唇の端から垂れる唾液が糸を引いている。その様子がいやらしくイルミを煽る。


「やめ・・・ろ・・・」

「先からいっぱい出てるのに。止めちゃまずいでしょ?」

ぱ、とが手を離すと、性器は勢いよく反りあがった。のオーラをこれでもかと注がれて、イルミはギンギンに感じていた。は面白がって何度もイルミの性器を弄った。何度亀頭を足の方に向けても、すぐにお腹に張り付くように反りかえる。


「いってもいいよ。ちゃんと飲んであげるから」

右手で陰嚢を柔らかく揉みしだきながら、左手で陰茎を摩る。そして唇で亀頭を舐めたり吸ったり。ちゅるちゅるとわざとに立てられる音が部屋に響く。
思い通りになるものかとイルミは何とかして込み上げるものを鎮めようと、曾祖父のしわしわの顔や知人の狂気じみた顔を頭に浮かべるがそんなものは無意味だった。


「・・・っ、は、う・・・・・・」


勢いよく放たれた精液を、はしっかりと口で受け取った。
舌先に精液を乗せ、イルミに見せつける様に舌を大きく付きだすと、そのままごっくんと飲みほした。美味しいよ、と笑顔でそう言ってのけた。
荒く息をしながら力なく床に倒れるイルミに、は唇を近づける。

「・・・避けないでよ」

どこに抵抗する力が残っているのか。イルミはの唇を避けるように顔を僅かに左に背けた。の唇も舌も、イルミの頬が受けとめる。

「・・・汚い、」
「よく言うわ、自分の精液でしょ」

嫌がるイルミの頬を押さえて無理やり口づけた。しっかりと上下の歯を閉じて抵抗するイルミだったが、の舌に無理やりにこじ開けられ、苦みとともに口内を侵される。


ああ、どうやらオーラも一緒に注がれたな。


そう気づいたときは既に遅く、イルミは抗うことのできない睡魔に襲われ、目を閉じた。











イルミが正気を取り戻した時、は既に消えていた。最悪の失態に、夢であってほしいと心から願ったが散乱したティッシュや下ろされたままのチャックが現実を突き付ける。
携帯には、入金があったことの通知が届いていた。その額は、昨夜提示された額の倍以上。身体を金で買われたようなものだ。
ふざけるなよ。無意識に怒りが籠ったようで、手に持っていた携帯電話が真っ二つに折れた。しかしそんなことは意にも介さずイルミは淀んだオーラを纏いながらゆらりと部屋を出た。
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